COLUMN
コラム
2025/05/30
フランチャイザーの注意点:信頼と仕組みが成否を分ける
フランチャイズ展開を始めるにあたって、フランチャイザー(本部)には多くの責任と準備が求められます。ただ事業を広げるだけでなく、「他人の人生を預かる」という覚悟が必要です。フランチャイジー(加盟者)との信頼関係、再現性のある仕組み、長期的視点を欠くと、短期的な拡大はできても、持続的な成長は望めません。ここでは、フランチャイザーとして押さえるべき主な注意点を紹介します。
1. 再現性のあるビジネスモデルかを確認する
本部が運営する直営店で成功していても、それがそのまま他人に任せて通用するとは限りません。属人的なノウハウや個人のカリスマ性に依存している場合、フランチャイズ化には向いていません。手順、業務、マネジメントをマニュアル化し、誰でも再現できる仕組みを整えてから展開するべきです。
2. 加盟店の成功を最優先に考える
フランチャイズ展開を始めると、「加盟金やロイヤリティで利益を出したい」という誘惑に駆られがちですが、本部の利益は加盟店の成功なしには成り立ちません。短期的な収益よりも、加盟者が長く安定して経営できるサポート体制を整えることが、結果的に本部の信用と利益につながります。
3. 加盟者選びを慎重に行う
誰でも加盟させればいいというわけではありません。理念や方向性が合わない人材を加盟させると、トラブルやブランド毀損の原因になります。選定時には、資金面だけでなく価値観や人柄、経営への姿勢をしっかりと見極めることが必要です。
4. 継続的なサポート体制を構築する
契約時や開業時のサポートだけでは不十分です。むしろ開業後こそ、経営課題に直面するタイミングが多くなります。スーパーバイザーの配置、定期的な訪問指導、勉強会の実施など、「伴走型」の支援体制を築くことで、加盟店の不安を減らし、信頼関係を強めることができます。
5. 契約やルールは明文化し、フェアに運用する
契約内容をあいまいにしたままスタートすると、後々トラブルになりやすくなります。ロイヤリティ、営業エリア、競業避止義務などの基本事項は明確に定め、双方にとって納得感のある内容にすることが重要です。信頼関係は、フェアなルールの上に築かれます。
フランチャイザーは「教える側」であると同時に、「支える側」でもあります。短期的な利益ではなく、長期的にブランドを育てていくという視点を持ち、加盟者と共に成長できる体制を築くこと。それこそが、信頼されるフランチャイザーへの第一歩です。